「より少なく、しかしより良く」
これが本書の究極的なテーマであり、人生の本質である。
エッセンシャル思考とは、3つの要素で成り立つ。
- 選択
- ノイズ
- トレードオフ
誰もが自分の時間とエネルギーの使い方を選択することができる。また、世の中の大半のものはノイズである。そして、すべてを手に入れることなどできない、何かを得ることは何かを捨てることだと悟る、そうするとエッセンシャルな答えが見えてくるというものだ。
刺激の多い現代で、多くの人が多くのことを引き受け時間に追われるということを経験するだろう。
今、最も必要とされる思考方法が「エッセンシャル思考」なのではないかと思う。
『エッセンシャル思考』概要、【成果が出る人生に変わる本】
「エッセンシャル思考」の基礎となる考え方は以下の3つだ。
- 選択
- ノイズ
- トレードオフ
自分で時間とエネルギーの使い道を選択できること、世の中の多くのものは無価値であること、我々は何かを得ようとすると何かを捨てていることを意識することで、「エッセンシャル」すなわち、本質的なものに目を向けることができるようになる。
「エッセンシャル思考」を一言で表すならば、このような言葉になるだろう。
「より少なく、しかしより良く」
選択とは、
「選ぶという行動に自覚的になり、その価値を理解し大切に実行すること」だ。
エッセンシャル思考の第一歩は選ぶことを選ぶことであり、自由意志を信じることだ。選ぶことを忘れた人々は無力感にとらわれ、他人の選択(自分の過去の選択)を黙々を実行し続ける。エッセンシャル思考の人は、選ぶ権利を捨てることは他人に自分の人生を決めさせることだと気づいている。
ノイズとは、
「大多数のものごとを不要だと考えること」だ。
非エッセンシャルな人は、大多数のことを重要だと考えている。しかし、現実に重要な少数は瑣末な大多数に勝る。エッセンシャル思考な人は、たっぷりと時間をかけて選択肢を検討する。多数の良いチャンスは少数のものすごく良いチャンスに遠く及ばない。最も重要なことに「イエス」と言うために、他の全てに「ノー」と言わなくてはならない。
トレードオフとは、
「何かを選ぶために、何かを捨てること」だ。
トレードオフから目をそむけても、トレードオフから逃げることはできない。非エッセンシャル思考の人は、「全てをやるにはどうしたらいいか」と考えるが、エッセンシャル思考な人は、「何に全力を注ごうか?」と考える。エッセンシャル思考な人は、自らトレードオフを選び取る。誰かに決められる前に自分で決める。
エッセンシャル思考を実践するために、下記の技術が必要となる。
- 見極める技術
- 捨てる技術
- 仕組み化の技術
詳しく技術を解説していく前に、著者の紹介をしたい。
著者の経歴
名前が、グレッグ・マキューン(Greg MacKeown)
シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEOだ。
エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆を行い、多くの有名企業にアドバイスしている。
2012年には世界経済フォーラムにより、「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。
それでは、3つの技術について解説していきたい。
見極める技術
「多数の瑣末なものの中から少数の重要なものを見分ける」技術である。
孤独、洞察、遊び、睡眠、選抜から形成され
本当に重要なものを見極めることを可能にするために、なるべく時間をかけてゆっくり調査・検討し、意見を交わし、じっくりと考える。そういった技術だ。
孤独は、考える時間を提供してくれる。瑣末な問題を捨て、自分の人生における重要な問題を見つけるためには考えに没頭し集中する時間が必要だ。集中するには集中せざるを得ない環境に自分を置く必要がある。
洞察は、本質を掴み取る手助けをしてくれる。情報が溢れる社会において、情報の中にある本質を察知する能力や瑣末な問題に振り回されずに事の大局を見ることが大切だ。
遊びは、創造性と探究心をもたらしてくれる。子供の頃、遊ぶことに苦労しなかっただろう。子供は心から遊ぶことを楽しんでいる。遊びは本質を探求するのに役立つだけでなく、それ自体が本質的だ。
睡眠は、自分という重要な資産を守ってくれる。現代人の最重要課題は優先順位をつける能力をキープすることだ。睡眠は多くの人にとって必要不可欠である。
選抜は、完璧なチャンスを掴む手助けをしてくれる。90点以上という厳しい基準で選ぶことだ。自分で決めた最低限の基準を満たしていないものはもちろん却下するが、理想の基準に満たしていないものも却下する。
まとめると、見極める技術とは、
自分の時間や思考に余白を作ることで、より厳格な基準を持ち込むこと
だと言える。
捨てる技術
「多数の瑣末なことを容赦なく切り捨てる」技術のことだ。
目標、拒否、キャンセル、編集、線引きによって形成され
自分の本当の使命が明らかになり、個人だけでなく組織全体のために最高の仕事ができるようになる技術だ。
仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始まる。
目標は、無駄な作業から自らを解放してくれる。かなり明確ではなく完全に明確を目指す。魅力的なビジョンではなく、具体的で魅力的な本質目標を掲げる。それは達成の判定が可能である。
拒否は、人間関係の縛りから判断を解放してくれる。我々に必要なことは、もっとゆっくりイエスと言い、もっと素早くノーと言うことだ。上手にノーと言える人はプロフェッショナルだと受け入れられる。
キャンセルは、無駄に続けることがないように手助けしてくれる。人は、今まで費やしたリソースがもったいないと感じてダラダラと続けてしまう。ゼロベースで考えることではっきりと止めることができる。
編集は、本質的なものを浮き彫りにしてくれる。余剰を削り、本質を取り出すことだ。いらないものを削除し、いるものだけに凝縮することで本質に目がいくようになる。
線引きは、自由を妨げるものから自分を遠ざけてくれる。仕事と人間関係に線引きをし、例外を許さない。他人の問題を横取りすることも、休日を取られることもなく自由になる。
まとめると、捨てる技術とは、
具体的な目標の元に、境界線を引くことで、多くの本質的でないものを避けること
だといえる。
仕組み化の技術
「努力せず、自動的にエッセンシャル思考を実現する」技術だ。
バッファ、削減、全身、習慣、集中、未来によって達成され
なるべく努力や根性がいらないように、自動的にうまくいくしくみをつくる方法だ。
バッファは、予測不能なリスクから身を守ってくれる。1時間で終わると見積もったものは時間内に終わらない。全ての計画において1.5倍の時間で見積もる。あらかじめバッファを計画しておくのだ。
削減は、場当たり的な補修から自らを解放してくれる。エッセンシャルな人は少しを取り除いてより多くを得ることができる。ボトルネックを特定し、それを改善することで全てがうまく回り出すのだ。
前進は、大きすぎる目標から自分らしさを取り戻す。非エッセンシャルな人は最初から全てを行おうとして達成できない。本質は、一つ一つの小さな前進による積み重ねだ。
習慣は、創造性を自由にしてくれる。なぜプロの選手がコンスタントに成果を上げられるのか、それは一回の全力ではなく、日々の最善を作り出す習慣だ。一度脳の回路が繋がると人はその行動に思考を割かなくなり、創造性が自由になる。
集中は、時間を量という概念から質という概念に置き換えることを助けてくれる。「今、この瞬間何が重要か」そう考えることで集中できる。マルチタスクはいいが、マルチフォーカスに気が散っている状態こそ非エッセンシャルだ。
未来は、重要でない何かから自分を解放する。エッセンシャル思考を心の中心に添えることだ。エッセンシャルな人も非エッセンシャルな思考になることがある。ただ、心の中心にエッセンシャル思考を添えることでいつしか行動がエッセンシャルになっていく。何か判断を迫られた時に「今、重要なことは何か」と問いかけてほしい。
まとめると、仕組み化の技術とは
今、この瞬間重要なことを選択し続ける習慣を作ること
だといえる。
学びと所感
私自身、非エッセンシャルな思考に囚われていたことを自覚した。
日々、SNSに勤しみ多くのノイズを浴びることで、重要なものへの対応が遅れることがしばしばある。しかもそれがノイズであると分かっていながら価値があると言い訳してまでだ。
また、すべてがトレードオフであることの意識も低いと感じた。例えば、新しい挑戦であればより良いと考えていた。新しく挑戦するということは今まで継続してきたものを捨てることだと知らずに。または全てをやろうとしていた。毎年、たくさんの目標を立てはその過半数を達成できずに終わっていた。
エッセンシャル思考=Essentialismを用いることで、時間とエネルギーを最も価値のある対象に向けることができるようになるだろう。
また、本書が解説している技術に関しては、自分に活かせる部分をつまみつまみ利用していくべきだろう。それこそ、「エッセンシャル」な部分をオイルのように抽出し、活用できたら良いのではないかと思う。
まとめ
エッセンシャル思考とは、
「選択することを選択し、ノイズを取り除くこと」を習慣とする主義のことだ。
その主義を達成するためには、
- 自分の時間や思考に余白を作り、厳格な基準を持ち込む
- 具体的な目標の元に、境界線を引くことで、本質的でないものを避ける
- 今、この瞬間重要なことを選択し続ける習慣を作る
という技術が必要だ。
SNSや効率化された仕事環境の中で、気づいたら多くの瑣末なものに時間が取られていると感じる人は、ぜひ「エッセンシャル思考」を実践してほしい。(個人的にはエッセンシャル思考というよりはエッセンシャルな生活という感覚)
今回、具体例や多角的な説明は省いているので興味を持った方は実際に著書を読んでみてほしい。↓
エッセンシャル思考が面白い!という方は、こちらの本にも興味を持つのではないだろうか。「イシューからはじめよ」
筆者も「エッセンシャル思考」を読んでいて、本質を見つけるということは課題を選定することでありそれはまさに、「イシューからはじめよ」でいうところのイシュードリブンという考え方だと感じた。
同じような考え方を違う視点から見ることで新たな発見があると思う。ぜひご一読いただきたい。
また、本質的な生き方という意味では、「7つの習慣」もセットで読みたい。
ちなみに、7つの習慣の著者「スティーヴン・コヴィー」は「エッセンシャル思考」作中にエッセンシャル思考の具体例として出現する笑
ぜひ、本質的な生活を過ごしたい方は読んでみて欲しい本だ。