人生論

【要約】LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略、新時代の生き方がわかる本

「人生100年時代、どう生きたらいい?」

最近そういった論調が流行っている。現在20代の若者にとっては同世代の半分以上が100歳を超える時代が来ている。

親世代の人生設計が全く役に立たない。

多くの人は75歳まで働く必要が出てくるし、1つの会社のみで人生を終えるという人生設計には現実味が出なくなってきた。我々はこういったことを考えなくては行けない。

  • 見えない資産
  • 新しいシナリオ
  • 新しいステージ

多くのものは緊急ではなくなったし、深めることよりも広げることの価値がます時代になる。

長寿は素晴らしい贈り物だ。正しく使うものにのみ効用を生み出す。

新時代の生き方がわかる本『LIFE SHIFT 100年時代の行動戦略』の要約

過去200年間、先進国は平均寿命を10年に2年以上のペースで延ばしてきた。

今、20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上まで生きる確率が半分以上ある。

長寿化の恩恵を最大限受けようと思ったらどうしたらいいか。それは以下のようなことを考えなくてはいけない。

  • 見えない資産
  • 新しいシナリオ
  • 新しいステージ

人生が80年だった時に構築された年金制度と60歳の定年、退職金を頼りにしていると、100歳の頃にはずっとひもじい気持ちを味わなければいけない。

また、思っているよりも我々が経験する80歳は若々しい。健康寿命が上昇し、働くことのできる時間も増える。

そのような時代にどういった人生設計が必要なのか、見ていきたい。

その前に筆者の紹介をする。

筆者の紹介

著者の一人目は、リンダ・クラットン。

ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論の世界的権威である。リバプール大学にて心理学の博士号を取得。世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」で2003年以降、毎回ランクインしている。2011年、英タイムズ紙の「世界のトップ15ビジネス思想家」の一人に選出。

二人目は、アンドリュー・スコット。

ロンドン・ビジネススクール経済学教授、前副学長。オックスフォード大学を構成する、オール・ソウルズカレッジのフェローであり、CEPRのフェローも務める。

 

それでは、詳しく見ていこう。

見えない資産

これまで、人々は3ステージ制の人生を想定して生きてきた。

教育▶️就職▶️退職である。このステージは80歳に人生を終える1945年生まれの方には当てはまるだろう。しかしながら、100年を生きる私たちにとって65歳に仕事を引退し、35年間、年金と退職金、少しの蓄えに頼って生きていくことは難しい。

これからはマルチステージ制の時代がやってくるのだ。

また、長寿のメリットを最大限活用しようと思うと、目に見える資産だけでなく、目に見えない資産にも目を向けることが大切だ

「良い人生」のために無形資産は非常に大きな貢献をしている。無形資産とは、

  • 生産性資産
  • 活力資産
  • 変身資産

のことである。

1つ目の生産性資産は、仕事で成功し所得を増やすのに必要な要素のことだ。スキルや知識が主たる要素だが他にもある。

2つ目の活力資産は、肉体的・精神的な健康と幸福のことだ。友人関係やパートナーや家族との良好な関係のことだ。

3つ目の変身資産は、100年ライフを生きる人にとって重要である。過程において大きな変化を経験し、多くの返信を遂げることになる。そのためには、多様性に富んだ人的ネットワークが必要だ。

これからはマルチステージの時代

生産性資産、活力資産、変身資産の無形資産にも目を向ける

新しいシナリオ

過去の3ステージのシナリオに加えて、新しいシナリオが追加されることになる。

  • 3.0シナリオ
  • 3.5シナリオ
  • 4.0シナリオ
  • 5.0シナリオ

もしあなたが40代の場合、3.0シナリオで人生設計をするということは、最初の学生時代の投資を頼りに、勤労人生を生き抜き、65歳での引退を目指すのだ。このシナリオだと、50歳でスキルは時代に遅れ始め、60歳の時に貯蓄を心配し始めるが、無形資産は尽きているので新しい仕事も見つけられない、70歳で引退するが、残り30年となれば思ったよりも貧しい生活を迫られるだろう。

では、3.5シナリオはどうだ。40歳の時に、老後の貯蓄がないと判断し、週に1度、社会人教育をする企業へ赴き夜間にIT技術を教える仕事をする。65歳になり、フルタイムのポストをもらい社会人教育の企業に転職。1年多く働くことができれば、お金を取り崩す期間も1年伸びる。しかし、これも本質的に変わりはない

では、4.0シナリオを選択しよう。ポートフォリオ型のキャリアを実践する。1年間、週2日の夜と隔週の土曜日を費やし、スキルを高めるためのプログラムを受講する。新たな資格を手にしたことによって新しい職を探し始める。プロジェクトのマネジメント経験を得たことによって生産性資産は底無しだ。70代後半になっても、価値の高いスキルを持っていることによって仕事の依頼がある。77歳まで働くことができれば、貯蓄は少しで済む。

20代の人間にとっては、3.0や3.5シナリオは到底不可能である。人生が非常に長いため、有形資産と無形資産の両方に問題が発生する。

5.0シナリオを選択した場合、20代の期間を選択肢を広げるために使うようになる。世界中を旅し、不安定な雇用形態で日々を過ごす。起業の経験もしながら、自分が興味を持つことを深めていく。30代になったときに、仕事を探すと、過去の旅の経験や起業経験から外部の接点やプロジェクトを立ち上げる経験を買われてポストを提供された。また、仕事の過程で食事会に参加していたNPOの代表とも関わりを持つようになる。ここでまた自分自身を見つめ直し、人材採用コンサルタントとして転身する。65歳になったら、ポートフォリオ型のキャリアを志向する。国際慈善団体で働き、中小企業で非常勤取締役として働く。家族と豊かな時間を使いながら、85歳で退職する。

いかがだろうか。想像していた人生設計と違うという人もいるだろう。しかし現実、このような生き方が認められ始めている。

40代は、シナリオ3.5かシナリオ4.0の人生設計

20代は、シナリオ4.0か5.0の人生設計

新しいステージ

長寿がもたらす恩恵は、「時間」という贈り物だ。

この時代には、3つの新しいステージが存在する。

  • エクスプローラー
  • インディペンデント・プロデゥーサー
  • ポートフォリオ・ワーカー

エクスプローラーとは、高校卒業後のギャップイヤーのように自分探しをする期間のことだ。しかし、ギャップイヤーと違いもっと長期間続く人生のステージだ。旅をし、深い関心を持ち入り込むことによってメリットを引き出すことができる。一度会社組織の中に入ってしまうと選択肢が絞られてしまう。エクスプローラーはたくさんある選択肢を吟味し、自分にあったものを選び取る。

インディペンデント・プロデゥーサーは、旧来の起業家とは違うタイプの起業家だ。このステージを生きる人たちは、ビジネスの活動自体を目的にしている。組織に雇われずに独立した立場で生産的な活動に時間を費やすことに価値を感じる。このステージでは専門性を身につけ、無形資産を高めることに価値がある。

ポートフォリオ・ワーカーは、さまざまな活動に並行して取り組みたい人にとってのステージだ。フルタイムで働くことをやめて、いくつかの仕事を並行して掛け持つ。ギグ・エコノミーを利用する人も増えるだろう。

エクスプローラー、インディペンデント・プロデゥーサー、ポートフォリオ・ワーカーというステージを意識する

まとめ

人生100年時代に意識しなければいけないことは以下の通りだ。

  • 見えない資産
  • 新しいシナリオ
  • 新しいステージ

見えない資産の価値にも目を向け、シナリオを書き換え、新ステージを選択肢として入れることが豊かな100年を生き抜くために求められている。

逆に言えば、私たちは、「時間」という恩恵によってより自由にたくさんの選択肢を吟味できる状態にある。

豊かで実りある人生を歩んでいきたいものだ。

もし、さらに深めたい人がいたら本書を読んでもらいたい。